見ていても見えていない?~バナー・ブラインドネスの恐怖~
最初に断っておきますが、オカルト的な話ではありませんよ。
人間の認識能力の不思議についての話です。見ているはずなのに、見えていないものって、意外にたくさんあるものなのです。
このことを説明するのによく使われる例の一つが「いつも通る駅の階段の数が何段ありますか?」といった質問です。絶対目に入っているはず=見ているはずなのに、認識はしていない=見えていないものだからです。
では、バナー・ブラインドネスとは何かというと、ユーザーがウェブ上の広告が無意識のうちに見えなくなる傾向のことです。ユーザーが見ているスクリーンの一番上やすぐ横、もしくは文章の間にさえ現れるバナー広告が見えていないはずはないのですが、なぜか見えていないのです。
専門的には選択的注意というらしいですが、単純に言うと人間の脳は膨大な視覚情報のすべてを処理するのではなく普段からの経験上重要ではないと思った情報をフィルターにかけ、自動的に無視するようになる傾向があるそうです。そのため、ウェブブランジングの経験から「自分の求めている情報とは関係がない可能性の高い広告のように見える要素」が見えなくなるというわけです。
このバナー・ブラインドネス、バナー広告を出している企業にとっては大問題なのですが、実はウェブ制作者にとっても注意が必要な問題なのです。その理由はバナー・ブラインドネスが適用されるのは広告だけではなく、広告のようにみえるものすべてだからです。
フィーチャーしているコンテンツへのPVを増やすためトップページに、カラフルにデザインしたバナー状やスクエア状のリンクを作成していたりしませんか?それこそ、ユーザーの目を見えなくさせているのかもしれませんよ。
参考文献:
Banner Blindness Revisited: Users Dodge Ads on Mobile and Desktop
https://www.nngroup.com/articles/banner-blindness-old-and-new-findings/