CJコラム

Simplified Technical English Vol.1 ~誰にでも伝わる英語(STE)にはルールが必要~


言葉の違う国の人とのコミュニケーションで大事なことは、誤解なく伝えることに尽きます。
しかし、誰もが1つの母国語を持ちその言語で生活している以上、ミスコミュニケーションも生まれてきます。第2、第3言語として外国の言葉を学んだとしても文化や歴史を含めた理解が難しいことも多いのが現実です。

世界中の地域へ向けて情報発信を行う際に、誤解されることなく目的を遂行することは必須課題です。
これからの時代は、各国の言語を理解した人工知能が通訳を行う時代なので、コミュニケーションも格段にスムーズなものになっていくに違いありませんが、過去の時代はどうだったのでしょうか。

 

世界の多くの国々で、英語は共通言語として使用されています。
コミュニケーションのために使われていた英語が、Simplified Englishと呼ばれるものでした。後に、市場や経済がグローバル化していく中で、ドキュメントのライティングスタイル等に利用されていきましたが、そこでのエッセンスとなるものは、英語が母国語でない人たちに対して正しく、誤解なく言葉を伝えるということです。フランス語やアラビア語を母国語とする人たちが購入した製品を指示通りに動かしているにも関わらず事故につながってしまったり、生産ラインが動かなくなってしまったり、こうしたことを回避させることを目的にした文章の書き方は、過去にも模索されていたのです。

 

Simplified Technical English (STE)の目的は、非ネイティブに対しても正しく内容を伝えられることにあります。
その歴史は1930年代に使用されたBasic Englishに遡ります。これは旧英国領の国々での国際貿易でのコミュニケーションを目的とされました。この英語は、アジア圏などでの初級の英語学習レベル程度と言える、850ワードの単語で文法もシンプルに制限したものでした。言語のもつコミュニケーション、情報伝達手段の側面に焦点をあてた、つまり実用的手段としてルールを決めたライティングスタイルを用いたスタイルが、シンプリファイドテクニカルイングリッシュ (STE)です。

次回のコラムで、STEの興味深い歴史について書いてみたいと思います。
お楽しみに。

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