英文コピーの品質を見極めるには、インパクトがある、洗練されているという表向きだけではなく、構文上のルール、トーン&マナー、
そして何より重要なのは、どんなターゲットに向けて、どのような意図・目的で訴求するのかをまずふまえるべきですが…
今回は、一筋縄では行かない、仕上がり英文の良し悪しについてお話します。
当社の顧客の大半が日本国内の日本人という前提がありますが、大まかな目安として、例えば
a) 原稿と突合せて一言一句そろっている
b)デザインにマッチしている
c) 流暢、カッコいい
というものがあります。一見当たり前なようですが、a) とc) でどんなイメージを描いて良いと言っているかは注意が必要です。
料理レシピ(材料)の英訳案件を事例として挙げてみます。
「時雨煮」
広義には佃煮の一種という視点から、(外国人にわかりやすく) 意訳した場合と日本名をそのまま活かすのとではどちらが適切なのでしょう?
一番親切で誰もが納得できそうなのは、頭に ’Japanese’ とつけて名称をそのままとする表記でしょう。
後ろにカッコ書きで説明を入れるのも一案ですが、読みやすさを目指すなら前者をお勧めしたいですね。
「炭火焼きは、日本料理が誇る素材を生かす加熱法です」
“Charcoal grilling is a great Japanese way to show off ingredients.”
これでは英文としてはしっくりきません。
日本人の感覚だとこの位置に「日本」を持ってくると安心でも、外国の方が読む場合は文字面ではなく、前後の関係を見て読み取る場合が多いのです。この場合、“Charcoal grilling is a great way to show off Japan’s wonderful ingredients.”がしっくりくるのです。
納品物として過不足無く、スタイル、句点等を整えるのは当然です。
では、「一言一句一対になっている」は、どんな英文でもいえるのでしょうか?
原稿が明解でない場合、こちらで要点を整理したり、説明で補ったりすることはありますが、原文と訳文が一対一で揃っている文章はあくまでひとつの文章のあり方で、素材の用途の数だけそれぞれ (読んでみて)「心地よい」英文もあったりするのです。
そうはいっても、日本人が英文そのものの品質を判断するとき、ひとつのよりどころになるのは「一言一句」という印象を受けます。
いずれにせよ大切なのは、相手の読解力に依存せず、「読み手の視点に立って」想像を膨らませ
「何を伝えたいのか」を突き詰めることにあります。
これが心地よい英語を生むポイントなのです。これをふまえてこそ訴求力の高いメッセージが生まれ、
ユーザーの心をつかむきっかけとなり得るのです。