CJコラム

翻訳会社アレこれ~Vol.19 見積り単価の成り立ちその③~外資系翻訳会社の場合

外資系の翻訳会社に委託するには、まずその特徴、性質を良く知らなければなりません。
外資系の場合は、その多くがヨーロッパに拠点があるので、日本のオフィスはいわば出張所原稿の受け渡しをする窓口のみで、営業担当とスタッフで5~6名の規模で運営しています。

外資系の翻訳会社に委託する上での最大のメリットはズバリ「低価格」。

基本は発注当日のユーロのレートで違ってくるのですが、
東欧を拠点とした会社の場合で英文1Wあたりの単価は日本の翻訳会社と比べると80~85%くらいの単価になります。
日本で安いところだと英語で1W≒20円くらいなので、外資だとだいたい1W≒17円くらいでしょうか。

また、前に委託したことのある関連案件であれば、
独自に翻訳支援ソフトに前回データが保存されており、過去の委託時データと照らし合わせて、新規(No match)、50-74%、75-84%、85-94%、95-99%、そして流用(Exact match)とテキストの再利用率に応じて単価が割引されるサービスもあるので、毎月のルーティンワークや大量翻訳において、大きなメリットを得ることが出来ます。

稼動の時間帯が日本とは逆なので、夕刻以降で手配がつけられれば、効率よく時差を利用したオーバーナイトで翌朝の納品も見込めますし、急ぎの場合だとクラウドサービスに直接オーダーして翻訳者がつかまれば数時間での対応も可能です。

 

ここまでの説明だと「良いことずくめ」ですが、当然デメリットもあります。

まず、欧州で対応するので、基本言語が英語、または欧州言語からの翻訳となること。
直接のクラウドサービスへの依頼も英語でなければならず、一般に日本語からの欧米言語への翻訳は受け付けてくれません。こちらからの質問に対しても、ほぼ英語での回答となりますので「英語が出来ない」などと言うのは論外となります。

次に品質。
あくまで翻訳なので、翻訳の域を超えた品質は望めません。
たとえ直訳であってもそれ自体間違いではないと回答されてしまうので、品質は自分たちでチェックするか第三者に委託して校正するなどして担保しなければなりません。仮に誤訳や翻訳漏れを発見したとしても、言えば対応はしてくれますが謝罪の言葉などはほとんどありません。
外資の場合だと日本の翻訳会社のようにキメの細かい対応は期待できませんので、修正対応や更新された原稿からの差分翻訳などは、こちらで原稿整理が必要になります。

また本来メリットである「低価格」についても、ユーロの為替レートが円安ともなれば大きく変動するので、毎度定額とはいかず、レートによっては日本で翻訳するのと値段が変わらないこともあるので注意が必要です。

さらに外資の場合だと請求書が派遣会社のように毎月締めで送られてきますので、案件が数ヶ月に及ぶ場合でも、発注先の事情に関係なく支払いは先行しなければなりません。

 

以上が外資系翻訳会社の一例ではありますが、特徴としてはざっとこんな感じです。
いかがでしょう。
仕入れ先としての外資系翻訳会社を選定するのであれば、その長所・短所を良く知ったうえで有効活用することが委託する上でのコツとなること、どうぞお知りおきください。

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