CJコラム

2020年航空業界(旅客分野)の惨状

新型コロナウィルスの影響が直撃している業界の一つ、航空会社。
平時の80%以上の減便という状態が続いています。そもそも小規模事業者は、平常時から経営が不安定ではありましたが、各国間の航空路線閉鎖(正確には閉鎖をしていませんが事実上として)から半年も経たないうちに、すでに以下の様な企業が倒産、廃業、事業停止に追い込まれています。
全て網羅できていないかもしれませんが、発表されている企業をピックアップしてみました。

・アトラスグローバル(トルコ)2020年2月 破産申請
※一応記載しましたが、コロナ関連と世間的には見られていない節があります。経緯からして私もそう思います。

・フライビー(イギリス)2020年3月 破産申請
※一応、コロナ関連倒産の航空会社としては、世界初とされています。ヴァージン アトランティックなどによる巨額投資も無駄に・・・。

・トランス ステート エアラインズ(アメリカ)2020年3月 営業を全面停止

・コンパス エアラインズ(アメリカ)2020年3月 破産

・ノルウェー エアシャトル(ノルウェー)2020年4月 子会社破産申請

・ヴァージン オーストラリア(オーストラリア)2020年4月 任意管理手続き(日本で言う民事再生)※イギリスのヴァージンアトランティックも死にかけ。

・南アフリカ航空(南アフリカ)2020年4月 清算後新会社設立
※政府保有の航空会社。元々会社更生法適用対象であった。

・モーリシャス航空(モーリシャス)2020年4月 任意管理手続き
※ただし、政府保有の航空会社。運航は継続。

・アリタリア・イタリア航空(イタリア)2020年4月 再国有化
※失礼ながら、しょっちゅう破綻しているイメージがあります。以前も1ユーロだか1リラだかで売りに出てませんでしたっけ?

・アビアンカ航空(コロンビア)2020年5月 破産申請
※しかし、運行は継続。さらに、コロナによる各国渡航制限が緩和または解除された際には再拡大操業の意向を表明。さすが、ラテンアメリカ最古最大の航空会社。

・タイ国際航空(タイ)2020年5月 会社更生手続き

・ラタム航空(チリ)2020年5月 破産申請

・ルフトハンザ航空(ドイツ)2020年6月 一部国有化

・ノックスクート・エアラインズ(タイ/シンガポール)2020年6月 会社清算を取締役会決議

・アエロメヒコ航空(メキシコ)2020年6月 破産申請

・イースター航空(韓国)2020年7月 会社清算手続き開始

 

ほとんど聞いたことない会社ばかりかと思われるかもしれませんが、誰でも知っている海外の航空会社でさえ、政府支援がなければ、上記リストに名前が載っていたのは確実という現況です。
エールフランスKLMでさえ、政府支援がなければ、半年持たずに破綻した可能性があったわけですし、580億ドルの直接支援を受けて、現金持ち高が十分であると強気の発言をしているアメリカの主要航空3社も、市場からは冷ややかな反応で、ウォーレン・バフェット氏も、損失を承知の上で米主要航空株を2020年5月に全て売却するなど極端な状況です。

IATAは2020年4月に、世界の航空会社の旅客収益は、3,140億ドル(約33兆7千億円)前年比55%の減収を予想し、今後のV字回復は見込めないとまでコメントしています。
また、IARAも、1,130億ドル(約12兆2千億円)を予想しています。
いずれにしても、要するに政府支援を受けたフラッグ・キャリア以外は、年越しはかなり厳しいのではないかと思われます。もちろん、航空事業以外があれば別でしょうけれども。

 

航空大手トップは、2021年から2022年あたりで、2019年比80%程度の水準に回復とみている方が多いようですが、そこまで果たして、生き残ることはできるのでしょうか。。
おそらく最も革新的で激動の経営、組織運営が見られる、注目すべき業界です。

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