私の最近の仕事で多かった内容は「料理の翻訳」です。
4月の桜の季節だったということもあり、外国人観光客の増加を感じました。レストランで食事をする外国人観光客を良く見ました。さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、観光客の増加が見込まれ、各地の飲食店も外国人で賑わいそうです。中国人の私は、「どのように日本料理を翻訳すれば、中国人は理解し易いのか?」、「どう翻訳すれば、来日中国人観光客の注文率を高めるか?」ということを考えています。今回は、そんな私の考えと翻訳方法について書きたいと思います。
元々の漢字を使う
「深夜食堂」など美食ドラマが中国で流行しているおかげで、ますます多くの日本料理が知られています。特に料理名が漢字の場合、その漢字を直接使うことはokです。例えば、「玉子焼き」の中国語訳名は「玉子烧」で、「鳥の照り焼き」の中国語訳名が「照烧鸡肉」で、「茶碗蒸し」の中国語訳名は「茶碗蒸」です。その中国語訳が日本語での料理名と近いことがお分かりでしょう。
尚、「懐石料理」など伝統的日本料理コースといえば、【前菜】【椀盛】【造里】【煮物】【冷菜】【台物】【留鉢】【食事】【水物】ですが、これらの漢字も直接、中国語訳として使えます。その訳名は中国人達に「その訳名、日本っぽく感じるし、一度食べてみたい」という印象を与えることもでき、注文率を高めますよ。
似ている食べ物を差替え、理解を深める
沖縄や北海道など各地の郷土料理には、普段あまり見ない様々な料理名が存在しています。中国人だけでなく、日本人でもその料理名に対する認知度は低いかもしれません。その料理名を翻訳する際、例えば、沖縄の肉料理「らふてー」、中国語訳文を「冲绳风东坡肉」にすると、中国人達としては分かり易いです。沖縄の「らふてー」は皮付きの三枚肉またはヒサガー(皮付きのもも肉)を泡盛や醤油で甘辛く味付けした料理で、「らふてー」の中国語訳「冲绳风东坡肉(沖縄風味の東坡肉)」の「东坡肉」は煮込み料理である焼菜に分類され、皮付きの豚のばら肉を一度揚げるか茹でるかして余分な油を取り、醤油と酒と砂糖で煮含めた料理を意味します。これは「らふてー」と似ているのではないでしょうか。「冲绳风东坡肉(沖縄風味の東坡肉)」みたいな訳文をみて、お客さんが「あ、分かった!日本にそんな料理もあるのか、一回食べてみたい」というような気持ちになり、料理の注文率を高めますよ。
雰囲気・色などでイメージを膨らませる
中国人の連想力が強く、料理名の訳文を見て、その料理の味・見た目などをイメージします。日本人と同じ、「幸運」、「福を招く」などの意味を含める料理名は、中国人の好みです。例えば、「お好み焼き」の訳文について、ある翻訳者は「お好み焼き」の中国語訳を「什锦煎饼」にします。この訳文にある、「什锦」は「様々な種類」、「煎饼」が「塩味パンケーキ」を意味します。「什锦煎饼」という渋い訳名と比べ、「好喜烧」或いは「御好烧」に翻訳すればもっと良いと思います。中国語で「好」は「良い」、「楽」、「好き」を意味し、「喜」は「喜ばしいこと」や「うれしい」を意味します。「お好み焼き」を「好喜烧」として翻訳すると、「食べたら良いことが起こる」という意味を食べ物にのせて、「嬉しい」という雰囲気を表しますよ。料理の注文率を高めますかもしれません。
以上、ご紹介した三つの方法は、私が行っている方法です。もちろん、他にも色々な翻訳方法があります。私自身も固執することなく、柔軟に対応してどんどん視野を広げていきたいと思います。文化や考え方の区別を乗り越え、お客様の要望を聞き、考え、私のように日本に暮らしているネイディブが在籍している当社に安心して、多言語翻訳をご依頼ください。